こんなにたくさんいるのか・・・!搬入口から舞台裏を通り、楽屋へと向かう。
色んな学生服の生徒達が、私達に挨拶をしてくれた。
この大会も、
学校事業の一環なんだなあと思いながらも、知らない人が
私にも挨拶してくれる事に、ちょっと偉くなった錯覚を覚えた。
舞台監督として、皆に指示を与えていたのは梁瀬。
照明は佐々木と小田ちゃん。
音響は上原。
他にも、仕込みや転換、衣装に受付、チラシ、宣伝、大道具小道具と、ほんとに大勢の高校生達が
舞台を創り上げて行く・・・。「こんなにたくさんいたんだ・・・」結局私は、メンバーの好意もあって、楽屋割担当となった。
掃除して、お茶の用意して、鏡前に名札を貼って、結構忙しく働いた。
他のみんなは、照明を吊ったり、トンカチ叩いたり・・・、昔の私なら、こんな自分を
役立たずだなと思ったりもしたが・・・ここ最近は違うのだ!少しだけ、成長したのかもしれない。
「自分の出来る事を、出来る限りやっていこう!」ンンーッ!と、興奮と武者震いを抑えようと、私は小さく叫んでみた!
「何か買って来ましょうか?」その子は扉の前に立っていて、ニコニコしながらこっちを見ている。
ンンーッ!をごまかそうと
、「ンン!?ウン、大丈夫です」と、顔が真っ赤な私・・・。
「はい」と返事をした彼女は、大きな瞳と色白の肌が実に印象的な女の子で、私は目が合った途端に照れてしまった。
女の子 「上原先輩から聞いてました、おもしろい人がいるって」
私 「あ、あいつ!何だか恥ずかしいな、同じ学校なの?」
女の子 「はい、あ、あたし箸野です」
私 「箸野さん?」
女の子 「はい、珍しいんですよ、割り箸の箸って書くんです」
私 「へえ」
女の子 「頑張ってくださいね」
そう言うと、箸野は去って行った。他にもいっぱい買い物があるのだろう。
本番間近のデレデレ男。
他人を気遣う箸野に感動しつつ、
暗転。